《ドット絵壁紙》高麗橋野村ビルディング
ドット絵壁紙第2弾です。
今回は、御堂筋ができる前の大阪のメインストリート・堺筋にあるビルです。
現在、大阪の百貨店は、御堂筋の北端・梅田に「阪急」「阪神」「大丸大阪店」、南端のなんばに「高島屋」、その間の心斎橋に「大丸心斎橋店」、という具合に御堂筋に集中しているわけですが、御堂筋が今の広さに整備されるまでは、その東側を南北に延びる堺筋が大阪のメインストリートでした。百貨店が4つもあったことがその繁栄ぶりを物語っています。
しかしその4つの百貨店の内、戦後も残っていたのは北浜の三越大阪店のみでした。その三越は阪神淡路大震災で建物が損傷し、ついに閉店・取り壊しとなってしまったのです。
その三越大阪店の斜め向かいに建てられたのが、今回の「高麗橋野村ビルディング」です。
1927年、建築家安井武雄の設計で建てられました。
建物全体はどこかイスラム風の雰囲気を感じさせます。
が、茶色の瓦で作られたひさし、入口の左右にある三日月と竹のモチーフ、これらは日本的な要素です。
さらに中に入ると、玄関ホールの床に金の円弧が描かれていて、その周りに十二支の金文字があります。このへんは中国風にも見えます。
いろんな国の要素を持つ、不思議なビルなのです。
特に印象深い三日月と竹のオブジェは、拡大してビルの両脇に描いてみました。
これは月の部分が照明になっているのですが、なぜ月と竹がここにあるのかはよくわかりません。
ただ、入口を中に入って天井を見上げると、そこには太陽の形の照明があります。壁紙の上部に描いてあるものがそれです。
太陽と月、と対にしてあることはわかるのですが、なぜ太陽と月をもってきたのかはこれもわかりません。
それでも、この太陽と月の照明はどちらもとても魅力的です。
また、壁紙の上下に描いた黒と白の縞模様ですが、これは「太陽」のある玄関の床の模様です。真ん中にある十二支の円は、例えば「卯」が東にあるなど、それぞれの方位に合わせて配置されています。
竣工当時は6階建てでしたが、戦後に7階部分が増築されています。
今回は竣工当時の姿を描くことにしていましたので、建物は6階までです。
また、現在は1階向かって左のテナントは「サンマルクカフェ」、右のテナントは和菓子店となっていますが、これも竣工当時の姿を優先し、左には当時入居していたあの化粧品会社の店舗を描いています。看板は色以外は資料通り描きましたが、店内の様子は私の創作です。創作ですが当時の化粧品店の様子を描いた絵(当時の広告等を参照)を参考にした上で描いています。
右側の当時のテナントは不明だったため、私の一存で喫茶室にしました。うっかり「資○堂パーラー」にしそうになりましたが、そんな記録はないので思いとどまりました。伏せ字には特に意味はありません(^ ^;)。
この建物を描くに当たり、写真資料を多数参考にしたのはもちろんですが、それだけではやはり足りなかったので、実際にビルを訪れ、サンマルクカフェにも入りました。また、外観をしっかり記憶するべく、斜め向かいのモスバーガーに入ってくまなく観察しました。
写真だけではわからない質感・色具合・細部の様子を確認するためでしたが、訪問することでより愛着をもってそのビルを描くため、でもありました。
これはアイコンを描く時にもしていたことだなと思い出しました。やはり愛が必要なんですね(^ ^)。