《ドット絵壁紙》高島屋東別館(旧松坂屋大阪店)
現在放送中のNHKの朝ドラ『カーネーション』。
このドラマの中で、主人公の糸子が飛び込み営業をするという設定で登場したのが「心斎橋百貨店」でした。ごらんになっていた方は、重厚な外観や内装を目にされていたことと思います。
その建物が、今回描いた高島屋東別館という建物です。
名前からすると、高島屋の別棟として百貨店の営業をしているのかと思ってしまいますが、実際は現在百貨店として使われているわけではありません。一部のフロアに高島屋資料館や結婚式場などがあるほかは、高島屋の事務所として使われています。
数年前までは、高島屋の家具売り場として使われていました。
この建物は。もともとは松坂屋大阪店でした。
大正時代にこの地に最初の建物を竣工して営業を始めた後、増築を繰り返し、1934年(昭和9年)にこの外観が完成しました。
この外観は堺筋側から見た姿ですが、堂々たる一つの建物に見える堺筋側に対して、裏側から見た姿はまるで違います。増築を繰り返した過程をそのまま残した、凸凹した外観になっています。
日本橋にあるこの松坂屋大阪店からそう遠くないところには、1934年当時すでに高島屋大阪店がありました。堺筋という従来のメインストリートに百貨店を構えた松坂屋でしたが、新しいメインストリート・御堂筋の南端に建てられた高島屋大阪店との勝負はすでについたようなものでした。
戦後も日本橋で営業を続けますが、1966年(昭和41年)、松坂屋は天満橋に移転しました。競争相手のいない天満橋に移転することで、ターミナルデパートとなることを狙ったのでした。しかし2004年に閉店し、大阪店の歴史は幕を閉じました。
一方、日本橋に残された建物は1968年(昭和43年)に高島屋が買い取り、東別館として現在まで使用しています。
建物についての話が長くなりましたが、次は壁紙のデザインについての説明です。
今回、建物がえらく大きいものだったので、1366×768ピクセルの大きさで描いてみました。
で、それ以上の大きさのモニタで使用される場合、拡大されるとドットが潰れてあまりきれいではないので、元の絵はそのままに周囲をパターンで埋めて、1920×1200ピクセルの壁紙を作りました。
なので、1366×768以上の大きさのモニタで使用される場合は、1920×1200のものを原寸大で(多少端は切れますがその状態で)表示されることをおすすめします。
建物の背景の模様(水色に白の線描)と、1920×1200の外側のパターンには、ギザギザの植物を描いていますが、これはこの建物のメインモチーフであるアカンサスです。
特に、1920×1200のパターンは、この建物のアーケードの床の模様を再現したものです。(わかりにくいかもしれませんが、1階の扉部分とショーウインドウ部分は白い柱より奥にあり、その間はアーケードになっています。)
アカンサスの形は、この他にも天井のレリーフやエレベーターの装飾など、この建物の至る所に使われています。
三カ所に扉があるのがわかるかと思いますが、この扉の上には、それぞれ違った模様の飾り枠があります。欄間のようなものですね。このうち、右の扉の上の模様を、今回は建物の絵の上下に模様として再現しました。幾何学模様が繊細で、ぜひ大きく描いてこの美しさを伝えたいと思いました。
また、この大きく描いた模様の背景には、緑のモザイク地にカーネーションの花模様を描いてみました。これは建物にあるものではなく、ドラマにちなんで私が描いたものです。
ドラマで使用されたことで、この建物はもちろん、近代建築の美しさがもっと伝わればいいのになぁと密かに期待しています(^ ^)。
なお、今回はこの建物を1934年当時の百貨店として描いたので、ショーウインドウの商品については、その当時のファッションやデザインを私なりに再現しています。そのあたりもごらんいただけるとうれしいです。